奥深きインドブログ

ディワリ:インドの祭りシリーズ

明日はディワリなので、ディワリについてのブログを書こうと思いました。ディワリとはサンスクリット語で「ディーパ(光)+アーワリ(列)」を短縮した言葉で、「光の列」を意味します。ヒンズー教徒は家の外にたくさんの粘土ランプを灯し、花火を打ち上げてディワリを祝います。ディワリは新月の夜に祝われるため、ランプや花火が特に明るく、光(知識や善を表す)が暗闇(無知や悪を表す)を克服するという象徴的な意味があります。

ヒンズー教ではディワリに関連する神話が沢山ありますが、祭り自体は神話よりも古いかもしれません。もともとは収穫の祭、またはもうすぐやってくる冬の憂鬱を払拭する祭りだったかもしれませんが、歴史を経て様々な物語に関連付けられ、より具体的な意味を持つようになったのではと思われます。

ディワリに関連する最も有名な物語のひとつは、ラーマ王子が悪魔の王ラーヴァナに勝利した物語です。ラーマはインドの北中部にある古代都市アヨーディヤーの王子でした。彼の美しい妻シータはある日、ランカの十の頭を持つ悪魔の王ラーヴァナに誘拐されてしまいました。ラーヴァナは以前にも多くの女性を誘拐していましたが、あまりにも有力な王だったため、誰も彼と戦う勇気がありませんでした。しかし、ラーマ王子は皆とは違う。ラーマはラーヴァナと戦争し、最後に彼を殺し、自分の妻だけでなく、ラーヴァナが誘拐した他の女性も救出しました。ラーヴァナを殺すことで、ラーマは悪を滅ぼし、道徳を回復したのです。

ラーマがラーヴァナを倒した物語は、紀元前7世紀から5世紀の間に偉大な聖者ヴァールミーキによって「ラーマーヤナ」という叙事詩に書かれ、それ以来この物語はインドだけでなく東南アジア全域でも広く語られて来ました。1993年に日本とインドの共同制作によりラーマーヤナの素敵なアニメ映画が作成されました。

上の予告編では「ファンタジーアニメ」とありますが、ラーマーヤナは「歴史と伝説に基づいた物語」と言ったほうがより真実に近いと思います。ヴァールミーキが書いたラーマーヤナには実際に証明出来る詳細が沢山含まれています。例えば、インドのほぼ全域の場所名とその位置や風景の細かい描写が出て来ますが、その多くの場所は今もあります。今でもラーマが旅したルートが現代インドの地図を見て分かります。

また、ラーマーヤナに記されている物語自体の詳細も多少は仏教等の歴史的文献にも裏付けられています。

ラーマのラーヴァナとの戦いと勝利は、「ダシャハラ祭」として祝われます。ディワリは、ダシャハラの20日後、ラーマがラーヴァナを倒してアヨーディヤーに帰って来たと言われる日に祝われます。アヨーディヤーの人々は、ラーマ王子の帰国を祝い、いたるところにランプを灯したと言われています。

その後ラーマはアヨーディヤーの王に即位し、正義、公平、知恵をもって王国を統治し、幸福、繁栄、善政の黄金時代を導いたと言われます。現在でも、「ラーマの統治」という言葉は「善政と繁栄の黄金時代」という意味で使われており、「我々はラーマの統治をもたらす」など、政治スローガンとしてよく使われます。また、「ジャイ・シュリ・ラーム」という政治スローガンも最近よく聞かれるようになっていますが、「ラーマが勝つように」という意味で、「善が悪に勝つように」という気持ちを表しています。

ディワリはインドで最も人気のある祭りのひとつで、全国で盛大に祝われますが、近年ではラーマの王国であるアヨーディヤーで特に華やかに祝われています。いつか行ってみたいです!


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